繊維製品の表示について
家庭用品品質表示法では一般消費者に対して下記の繊維製品は、
販売を行う場合に品質表示が必要になります。
品質表示が必要な物
1.糸 | |||
2.織物、ニット生地、レース生地 | |||
3.衣料品等 | (1)上衣 | ||
(2)ズボン | |||
(3)スカート | |||
(4)ドレス及びホームドレス | |||
(5)ブルーオーバー | |||
(6)ワイシャツ、開襟シャツ、ポロシャツ、その他シャツ | |||
(7)ブラウス | |||
(8)エプロン、かっぽう着、事務服及び作業服 | |||
(9)オーバーコート、トップコート、 スプリングコート、レインコート、 その他のコート | 特定織物のみを
表生地に使用した和装用のもの |
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その他のもの | |||
(10)子供用オーバーオール及びロンパース | |||
(11)下着 | 繊維の種類が1種類のもの | なせん加工品 | |
その他 | |||
特定織物のみを 表生地に使用した和装用のもの |
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その他の物 | |||
(12)寝衣 | |||
(13)靴下 | |||
(14)足袋 | |||
(15)手袋 | |||
(16)ハンカチ | |||
(17)毛布 | |||
(18)敷布 | |||
(19)タオル及び手ぬぐい | |||
(20)羽織及び着物 | 特定織物のみを 表生地に使用した和装用のもの |
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その他のもの | |||
(21)マフラー、スカーフ及びショール | |||
(22)ひざ掛け | |||
(23)カーテン | |||
(24)床敷物(パイルのあるものに限る) | |||
(25)上掛け(タオル製のものにする) | |||
(26)ふとん | |||
(27)毛布カバー、ふとんカバー、まくらカバー及びベッドスプレッド | |||
(28)テーブル掛け | |||
(29)ネクタイ | |||
(30)水着 | |||
(31)ふろしき | |||
(32)帯 | |||
(33)帯締め及び羽織ひも |
繊維の名称を示す用語
繊維名は規定に定められた用語(指定用語)を表示します。
混用率の大きいものから順次繊維の名称を表示しましょう。
繊維の名称を示す用語
繊維 | 指定用語[表示名] | |
---|---|---|
綿 | 綿 | |
コットン | ||
COTTON | ||
毛 | 羊毛 | 毛 |
羊毛 | ||
ウール | ||
WOOL | ||
アンゴラ | 毛 | |
アンゴラ | ||
カシミヤ | 毛 | |
カシミヤ | ||
モヘヤ | 毛 | |
モヘヤ | ||
ラクダ | 毛 | |
ラクダ | ||
キャメル | ||
アルパカ | 毛 | |
アルパカ | ||
その他のもの | 毛 | |
絹 | 絹 | |
シルク | ||
SILK | ||
麻(亜麻及び苧麻に限る) | 麻 | |
ビスコース繊維 | 平均重合度が450以上のもの | レーヨン |
RAYON | ||
ポリノジック | ||
その他のもの | レーヨン | |
RAYON | ||
銅アンモニア繊維 | キュプラ | |
アセテート繊維 | 水酸基の92%以上が酢酸化 されているもの |
アセテート |
ACETATE | ||
トリアセテート | ||
その他のもの | アセテート | |
ACETATE | ||
プロミックス繊維 | プロミックス | |
ナイロン繊維 | ナイロン | |
NYLON | ||
アラミド繊維 | アラミド | |
ビニロン繊維 | ビニロン | |
ポリ塩化ビニリデン系合成繊維 | ビニリデン | |
ポリ塩化ビニル系合成繊維 | ポリ塩化ビニル | |
ポリエステル系合成繊維 | ポリエステル | |
POLYESTER | ||
ポリアクリルニトリル系合成繊維 | アクリルニトリルの質量が85%以上のもの | アクリル |
その他のもの | アクリル系 | |
ポリエチレン系合成繊維 | ポリエチレン | |
ポリプロビレン系合成繊維 | ポリプロビレン | |
ポリウレタン系合成繊維 | ポリウレタン | |
ポリクラール系合成繊維 | ポリクラール | |
ポリ乳酸繊維 | ポリ乳酸 | |
ガラス繊維 | ガラス | |
炭素繊維 | 炭素 | |
金属繊維 | 金属 | |
羽毛 | ダウン | ダウン |
その他羽毛 | フェザー | |
その他羽毛 | ||
前各項上に掲げる 繊維以外の繊維 |
「指定外繊維」の用語にその繊維の名称を示す 用語又は商標を括弧を付して付記したもの。 (ただし、括弧内に用いることのできる繊維の 名称を示す用語又は商標は一種類に限る) |
繊維の種類と性質
繊維は天然繊維と化学繊維に大別することができます。天然繊維には動植物を原料として利用した繊維で、木綿や麻などの植物繊維や、羊毛、絹などの動物繊維があります。
一方、化学繊維には天然の繊維を再生したレーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維があります。
ここでは、身の回りの製品にあるカシミヤって何??アセテートって何??など身近な繊維の基礎に触れあなたの商品へのより深い理解をちょっとお手伝いできればいいなと思います。
天然繊維
繊維名 | 性質 | 基本の洗剤 | 基本の アイロン温度 |
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植物繊維 | 綿 | 良い特徴 | ・肌触りが良く涼しい ・染色性や発色性に優れている ・吸湿性・吸水性が大きい ・熱に強く丈夫で濡れても強度がある |
弱アルカリ性洗剤 | ~200℃ |
悪い特徴 |
・縮みやすい ・シワになりやすい ・乾きにくい ・日光で黄変する |
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麻 | 良い特徴 | ・清涼感がある ・水に濡れると強い ・吸湿性・発散性に優れている ・害虫に強い |
弱アルカリ性洗剤 | ~200℃ |
|
悪い特徴 |
・弾力性がない ・シワになりやすく、取れにくい ・強い摩擦により毛羽立つ ・カビに弱い |
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動物繊維 | 羊毛 | 良い特徴 | ・伸縮性・弾力性に優れている ・保湿性が高い ・シワになりにくく型崩れしにくい ・吸湿性・撥水性がある |
中性洗剤 | ~150℃ |
悪い特徴 |
・アルカリに弱い ・塩素や日光で黄変する ・虫がつきやすく、毛玉ができやすい ・縮みやすい |
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カシミヤ | 良い特徴 | ・光沢でしなやか ・保湿性が高い ・着心地や肌触りに優れる ・断熱性やヌメリ感がある |
中性洗剤 | ~150℃ |
|
悪い特徴 |
・アルカリに弱い ・シワができやすく、型崩れしやすい ・塩素や日光で黄変する ・摩擦に弱く、毛玉ができやすい |
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モヘア | 良い特徴 | ・光沢があり、絹のような手触り ・柔軟で断熱性がある ・吸湿性が高い |
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悪い特徴 |
・長毛のため、毛乱れが発生する ・毛が抜けやすい ・摩擦に弱い |
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アルパカ | 良い特徴 | ・柔軟で、シワになりにくい ・羊毛より縮みにくい |
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悪い特徴 |
・紡ぎにくく、毛が抜けやすい ・高品質ほど毛が抜けやすい ・摩擦に弱い |
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アンゴラ | 良い特徴 | ・毛が細く、手触りが柔らかい ・断熱性がある |
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悪い特徴 |
・毛が抜けやすい ・汚れがたまると色がくすむ ・高温乾燥では繊維を傷める ・毛玉ができやすく、縮みやすい |
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絹 | 良い特徴 | ・光沢があり、手触りがよい ・保温性・保湿性・発散性に優れる |
中性洗剤 | ~150℃ |
|
悪い特徴 |
・シミになりやすい ・酸やアルカリに弱い ・塩素や日光で黄変する ・害虫に弱い ・濡れると縮みやすい |
化学繊維
繊維名 | 性質 | 基本の洗剤 | 基本の アイロン温度 |
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---|---|---|---|---|---|
再生繊維 | レーヨン | 良い特徴 | ・吸湿性・吸収性が良い ・光沢があり、着心地が良い ・ドレープ性がある ・染色性が良い |
弱アルカリ性洗剤 | ~150℃ |
悪い特徴 |
・水に濡れると、強度が弱くなる ・乾きにくく、シワになりやすい ・摩擦に弱い ・水ジミができやすい ・縮みやすい |
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キュプラ | 良い特徴 | ・滑り性に優れ、しなやか ・吸湿性・吸収性が高い ・絹に近い光沢感 |
弱アルカリ性洗剤 | ~150℃ |
|
悪い特徴 |
・乾きにくくシワになりやすい ・摩擦により毛羽立ちやすい ・縮みやすい ・水に濡れると強度が低くなる ・水ジミになりやすい |
||||
テンセル | 良い特徴 | ・強度があり、丈夫 ・弾力性がある ・光沢がある ・染色性が高い ・吸湿性・速乾性に優れている |
弱アルカリ性洗剤 | ~150℃ |
|
悪い特徴 |
・水ジミになることがある ・シワになりやすい ・摩擦により毛羽立ち白化しやすい |
||||
半合成繊維 | アセテート | 良い特徴 | ・発色性・鮮明性に優れる ・吸湿性がよく、乾燥性が良い ・弾力性がよく、比重も軽い ・虫やカビに強い |
中性洗剤 | ~110℃ |
悪い特徴 |
・熱や摩擦に弱い ・アセトンやシンナーで溶けてしまう ・酸化窒素ガスで変褐色を起こす ・吸水性がない |
||||
合成繊維 | ナイロン | 良い特徴 | ・非常に強い弾力に富む ・薬品・カビ・害虫に強い ・シワになりにくい ・乾燥しやすく、収縮しにくい |
弱アルカリ性洗剤 | ~110℃ |
悪い特徴 |
・吸湿性が少ない ・熱に弱い ・日光やガスにより黄変する ・静電気を発生しやすい |
||||
ポリエステル | 良い特徴 | ・濡れても強さは変わらない ・摩擦にも強い ・シワになりにくく、型崩れしにくい ・丈夫で、速乾性がある |
弱アルカリ性洗剤 | ~150℃ |
|
悪い特徴 |
・吸湿性がない為、静電気を発生しやすい ・熱に弱い ・汚れると落ちにくい |
||||
アクリル | 良い特徴 | ・シワになりにくく、軽い ・発色性がある ・カビ・害虫に強い ・保湿性が良い |
弱アルカリ性洗剤 | ~110℃ |
|
悪い特徴 |
・吸湿性が少ない ・高温に弱い ・静電気が起こりやすく、汚れやすい ・毛玉ができやすい |
||||
ポリウレタン | 良い特徴 | ・伸縮性が大きい ・強くて丈夫 ・軽い ・弾力性がある ・シワになりにくい |
弱アルカリ性洗剤 | ~110℃ |
|
悪い特徴 |
・塩素や紫外線で黄変したり劣化する ・摩擦に弱い ・熱に弱い ・吸湿・吸水性が小さい |
天然繊維 素材の説明
綿
綿は棉(わた)の木の種子からとった種子毛です。綿は赤道を中心とした南北温帯地方に広く栽培され、インド綿、エジプト綿、メキシコ綿、ロシア綿などいろいろな種類があります。
特徴は特に湿ったときのほうが強さを増すので耐洗濯性があり、また熱の不良導体ですので保温と防暑に優れています。
麻
世界最古の繊維とされ、エジプトを中心に発達し、ヨーロッパ全土へと広がっていきました。
麻として表示できる繊維は、「家庭用品品質表示法」により、ラミー(苧麻/ちょま)とリネン(亜麻)に明確に限定されています。これ以外の麻は、「その他の繊維」として表示することが必要です。
ラミーとは苧麻(ちょま)とよく似た植物の茎からとった繊維で、リネンとは亜麻(あま)の茎からとった繊維で、麻のなかでは生産量も多く、一番重要な繊維です。
麻繊維の基本的な取り扱い方法は家庭洗濯の場合、弱アルカリ洗剤で30~40℃の弱水流で脱水を短めにし、風通しのよい日陰に干すことをおすすめします。
ちなみに・・・リネン繊維でつかわれている用途のひとつにホースがあり、濡れると目がつまり、水が漏れにくくなるので消防用には欠かすことのできないものとなっています。
羊毛
衣料品の内、約半数を占めるのがこのウールです。これだけ高いウェートを維持している原因は一体何でしょうか。古代人類が外気から守るために毛皮を衣服として用いてきました。その後、めん羊を飼育し、繊維とする技術を発達させてきたのも、この毛がすばらしい保温力と風合いの良さを持っているからでしょう。
羊毛製品の特徴は湿気を吸収し、水滴をはじくという不思議な性質はウール繊維のみがもつ特質です。また復元性もよくシワになっても元の形に戻ってしまいます。
羊毛の持つ繊度や繊維の長さの特質は、さまざまな番手をつくりだし、紡績に最適であり、すべての織物につくりこなすことができます。人類はこの神秘的な繊維を化学的に研究したのですが、やはり、自然の羊毛繊維以上のものは作れないようです。
獣毛
羊毛の他に、山羊、ラクダ、うさぎ、ビーバーなどから毛織物をつくることができます。最近のファション傾向では、この獣毛(ヘアーと呼ばれる)がクローズアップされています。モヘアのニットセーターや、アンゴラのオーバーコート、ビーバークロスのハーフ・トップといった具合に、その獣毛のもつ繊維の特徴が、より服地に活用されています。カシミヤって何?アンゴラって何でしょうか。
カシミヤ
カシミヤは、インドのカシミール地方に生存するカシミヤ山羊の毛です。繊維が細く柔らかく、しっとりとした手触りと軽さが特徴で高級服地ができます。
カシミヤ山羊の毛は内側と外側では質が違い、櫛により内側の毛(綿毛)のみをそぎとり、これが、カシミヤ・ウールです。従って生産量に限りがあり、繊維が非常に弱いため、通常は他の繊維と混ぜて使用されています。
モヘア
モヘアはトルコが原産地のアンゴラ山羊の毛です。長く太くなめらかで美しい光沢をもったこの繊維は細い繊維は夏服地用、太い繊維はオーバー地やカーペットに使用されています。
アルパカ
アルパカ毛は、南米ペルーの山地に住む一種のやぎの毛です。光沢が強く、手ざわりがなめらかです。洋服の裏地や、夏服地に適しています。
アンゴラ
アンゴラ兎の毛は細い毛のみ採取し、非常になめらかで軽く、染色の度合いも良いこの繊維は、他の繊維との混紡によってその持ち味を出しています。特にニット関係でよく使われる繊維のひとつです。
絹
絹繊維は、天然のフィラメント(長繊維)で、紡績を必要としない唯一の天然繊維です。蚕(かいこ)は頭部の穴(口)から2本の液体を出します。この液体が空気に触れることによって、硬く光り輝く絹繊維になります。
絹織物は何といっても手触りのよさと優美な光沢が特徴で、染色性の良さも抜群で他に類をみません。また熱伝導率が低いため、保温性にもよく、うすくても大丈夫です。しかし、太陽光線に弱く、また衣類の虫には非常に好物な面もあります。
化学繊維 素材の説明
レーヨン
再生繊維に区分され、再生繊維とは天然の繊維素(セルロース)を原料としたものです。一般的に化学繊維は吸湿性が低いため、この再生繊維と混ぜ合わせることによって、その欠点を補います。銅(キュプラと呼ぶ)アンモニア溶液を溶かしてつくるキュプラ・レーヨンは夏物素材に適し、裏地によく使われているのもこのためです。
アセテート
半合成繊維に区分され、天然の繊維素(セルロース)に化学成分を結合したものです。特徴としては絹を意識してつくられたこの繊維は、軽く、保温力があり、絹に感触を備えています。しかし、熱可塑性の繊維ですのでプリーツやシワのよりにくい反面、アイロンには注意が必要です。霧はできるだけ細かく水滴を残さないように約120℃前後の温度の熱アイロン処理が望ましいといわれています。
ちなみに・・・独特な用途としてタバコのフィルターや人形の頭髪などにも使用されています。
ナイロン
三大化学繊維とよばれるナイロン・アクリル・ポリエステルは天然の繊維素を用いず、石炭、石油などを利用して人工的に繊維素を重合したものをいいます。
ナイロン繊維の発明は絹繊維に大きな影響を与えました。ナイロンは軽く、強く、光沢が良く、しかも安価で欲しいだけ生産可能という好条件がそろっています。
水に濡れてもその強度が落ちることなく、むしろ洗濯が容易でしかも乾きが早いという点では衣料用に最適です。しかし、静電気をおびやすく、汚れやすくなり熱に対しても弱い方でアイロンは十分注意しなければなりません。
アクリル
繊維がふっくらとして、ちょうど羊毛に似た風合いをもっているのが最大の特徴です。羊毛より軽く、保温力もあります。しかし、吸湿性に乏しいため、摩擦によって帯電し、毛玉の原因になります。洗濯時には洗濯液中の汚れを吸着させないためにも、アクリル類は別洗いしたほうが無難です。
ポリエステル
しわになりにくく、取り扱いが容易なのがポリエステルの特徴です。耐熱性、耐薬品性に優れ、熱可塑性が大きいため、プリーツが安定します。しかし、吸水性が非常に乏しいため、繊維の中まで水が入り込まず、表面だけ濡れるにすぎません。これが早く乾く原因です。しかし浸油性が多きため、油性の汚れを吸収して汚れやすく、落ちにくい点があります。汗などの脂肪分も付着しやすいので、脱いだらすぐ洗うようにしなければなりません。また静電気をおびやすいことも欠点のひとつです。
洗濯ラベルのつくり方の情報パンフレットを差し上げています
ラベルくん.comでは、現行JIS法の規定を基に作成したパンフレット(DL版)を差し上げています。
Ⅰ 洗濯ラベルについて学ぼう
1.図解でわかる洗濯ラベルのつくり方
2.新しい「取扱い表示」(洗濯絵表示)の5つのポイント
3.現行JIS(JIS L 0001)取扱い表示の記号と意味
4.言葉で伝える取扱い文章のメリットとは?
5.洗濯ラベルの付記用語事例集
Ⅱ 繊維の種類と性質について学ぼう
1.繊維製品の表示について
2.繊維の名称を示す用語
3.繊維の性質の特徴を学ぶ
A4サイズ4枚にコンパクトにまとめた情報満載のパンフレットです。
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